城壁と扉と騎士の物語[vol.1]
今回の詩は…しなのか??
と、自分でも悩んだのです。長いので…
でも、すべては比喩なので、
やぱり、「詩」ということにして…
ちょっとストーリーのあるものになります。
そして長いので全4回に分けてUPいたします。(恐る恐る…)
* * *
「城壁と扉と騎士の物語[vol.1]」
今日も こうして 生きている わたしが
今日も そうして 生きている あなたが
ここまで 幾度も 出会ったことのある 不落の城砦
それの城壁は 雲をつきぬけるほどに 高くそびえて
その扉は 鋼鉄で仕上げられ びくともしない
攻め落とさねばと 人は 戦い挑むが
それを 突破したものは 数少ない
*
超えられないのだと 思い知るとき
嘆くのだろうか。 きみは
それは 知らぬからだ と
そう 生きることを 知らずに 育ったからだと
だから 仕方ないのだと
壁の向こうに去った人を そうして 忘れて
記憶の外へ 追いやりながら
過去をなぐさめて 生きるのだろうか
…これからも
…ずっと…?
*
これは ひとつの 英雄物語
それは 不思議な 光景 だった
城へ放った矢は あれだけ 跳ね返されてきたというのに
たったひとつの 小さな 鍵を 得て
開けはなった 鋼鉄の扉の中へ 踏み入れると
そこに すでに 城はなく
そこは ただの 庭だった。
永延と いくつかの 小道が 蒼い芝生に 描かれた庭
目的だった城は 失われ
代わりに 燦々の太陽が こちらを照らしている
そしてぼんやりと 視線のはるか先に
見知らぬ城のシルエットが 風にゆれて 現れては消える
「ああ、あの時と同じだ…」
と、その騎士は思い出す。
ずっとむかし
あのときも こんな風に 扉を開けたのだった と
かこを ゆるせず かこの 総てを にくんで
かこの …じぶんを 憐れみ
いつか かこ に すべて 捕らわれて
城と自分を分かつ 重く分厚い扉のことなど
とうに 諦めていた 時代があった
だが なにかが 起こって
なにかの きっかけで
彼は 全ての 過去を 赦した
彼は 総てを うけ入れることを 知った
そのとき 気づいたのだ
その右のてのひらに 美しい細工を施した
黄金の 鍵が にぎられていたことを。
仲間と 共に 押してみても
何発もの 大砲を 打ち込んでも
びくともしなかった 扉が
手の中に 現れた 小さな その鍵ひとつで
難なくと 城への 道を 拓いてしまった
おそるおそる 庭に踏み入れた 彼の後ろで
彼の不安を 笑うように その扉はしまる
そして 何事も 無かったかのように
彼は その扉の 反対側に 立ったのだった
*
瞬時に くぐりぬけた 巨大な 城壁は
彼の 永年の 夢であり 敵でもあった…
だから
彼は その壁に 別れを告げて
光輝く 庭を渡る
一歩進むたび あの扉は 過去となり
“いま”は 一瞬にして 未来を 浸食し
過去を 創り上げていく
そんな風にして 広大な 庭の出口まで たどり着いた。
そして 騎士は 「やはり」と 思う
庭の終わりの先は 安住の場所ではなく
いばらの森が あらわれた。
…おそらく その先には 砂漠が待っている
そして そのおわりに
蜃気楼のように 微かに目にした あの城がそびえている
また 強固な 頑丈な 城壁に 守られた 城が
それは 何度も 何度も くりかえしてきた 道筋
そして 何度も 何度も 絶望を 教えた 途なのだ
ここに 留まれば
この 明るい 庭に 留まれば
花咲く庭で 小鳥たちの唄と たわむれて
刺さる 棘の痛みに 顔をゆがめることも
乾きに 饑餓の苦しみを 知ることもない
…そう考えて
賢い 騎士は
小道を外れて
蒼く茂る やわらかな 芝生に 身を横たえた。
つづく
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